断熱、気密、そして湿度・4

前回までに住宅の構造躯体は、熱の伝導率や、蓄熱の観点から考えると鉄骨やコンクリート住宅と比べて木造住宅が最も優れていると言うことをお伝えしました。であるならば木造住宅は、ただ建てるだけで 断熱性能が良いのか…と言うと、決してそのようなことはありません。

構造躯体とは、家の荷重や耐震基準を満たすための『骨組み』であり、ただ、その骨組みが鉄やコンクリートに比べて外熱の影響を受けにくい素材であるということでしかありません。となれば次に何をすればよいのか…?。屋外の熱の影響を受けにくい素材に対して屋外の気温と屋内の気温を遮断できる『気密層』を確実に造らなければなりません。断熱にこだわりのない木造住宅メーカーは、このとっても重要な『気密工事』を重要視していないのです。

『気密』について分かりやすい例をお伝えします。夏野菜が一年中食べられるのは、ビニールハウスがあるおかげです。寒い冬には気温が低すぎて屋外ではとても育たない『キュウリやトマト』。ビニールハウスで外気を遮断しているためにハウス内の温度が夏野菜を育てる温度に保てているからこそ出来るのです。天気の良い日中は、補助暖房なしでも良いですが、天気が悪い日や夜間などは、補助暖房を入れてビニールハウス内の温度を保っています。

もしものことですが、このビニールハウスのあちこちに『穴』が開いていたとすればどうなることでしょう…?。ごく小さな穴であれば影響は少ないでしょうが、風が突き抜ける穴が開いていればハウス内が外気温と同じか、または、夏野菜がとても育たない温度にまで下がってしまいます。ビニールハウスにとって外気とハウス内の空気を遮断する『気密』は、とても重要なことだと言うことがお分かりいただけたと思います。

住宅の『気密』も同じことで、気密が施されていなければ、昔の『隙間風』が通り抜ける家と似たようなもので、冬にどこからともなく隙間風が入り『底冷えがする』『暖房しても床のあたりが温まらない』と言う家になってしまいます。気密が良くないと、暖房で温められた暖かい空気は軽いので上の方に移動し、どこかの隙間から屋外に抜けていきます。抜けていった空気を補うように外部から冷たい空気が家の中に入ってきます。冷たい空気は重たいので皆さんが生活される床の付近に漂います。これが底冷えを感じる主な原因です。暖房をしても、煙突のようにせっかく温まった空気が屋外に抜けていってしまってはエネルギーの垂れ流し状況と何ら変わることがありません。

住宅の『気密』はどのようにすれば良いのか…?。続きは次回で…。

 

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です