断熱、気密、そして湿度・3

昨日は、木造と鉄骨の構造体の熱の伝導率について、断熱にどのような影響を及ぼすかを書きました。今日はコンクリート住宅について書きたいと思います。

コンクリートの熱の伝導率は鉄骨に比べますと低く、緻密コンクリートで1,0~1,8です。しかし、木の0,12~0,14と比較すればおよそ12倍熱を伝えます。コンクリート住宅で致命的な欠点は、熱の伝導率よりもコンクリートの蓄熱作用や保湿作用にあります。

『石焼ビビンバ』は、石を熱してその石を鍋の中に入れ、石が持っている熱で鍋の中の具材を煮込みます。家全体をコンクリートで作ったコンクリート住宅は、蓄熱をする『石焼ビビンバ』の石で囲まれた状態のようなものです。このことを体験するには、真夏の日射に照らされた何処にでもある公園のコンクリートで作られたベンチに夜になって座ってみられるとよ~く解っていただけます。

日没後、数時間を経てもベンチに座ると意外なほどの熱さに驚きます。コンクリートのこの厄介な蓄熱作用は防ぎようがなく、夏は、日射で受けた熱をずっと保持し続け、冬は凍てつく温度を保ちます。屋根の下の天井裏、外部に面する壁にいくら断熱材を入れても『熱い‣冷たい』という熱源がずっと屋外で続けば断熱材もずっと熱を断ってくれる訳ではありません。

レジャーに使用する『アイスクーラー』に保冷材を入れて日陰ではなく炎天下に放置しておくと、日陰に置いた場合よりも早く保冷剤が融けてしまうことを思い浮かべてみてください。『断熱材は何時までも熱を断ってくれる訳ではない』と言うことが良くお分かりであろうと思います。

熱の伝導率が高い鉄は、『熱しやすく、冷めやすい』ので、考えようによってはコンクリートよりはまだましかもしれません。何処の大学教授が実験したかは知りませんが、マウスを木の箱、鉄の箱、コンクリートの箱にそれぞれ入れて飼育したところ、一番早くマウスが死んだのがコンクリートの箱、次に死んだのが鉄の箱、一番長生きをしたのが木の箱だったとのことです。

このことは、マウスの実験をしなくても予想はできますが…。

コンクリートの保湿作用については、湿度の対策の時に書きたいと思います。

 

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