断熱、気密、そして湿度・2

断熱のことをお伝えしようと思うと、以前にも書いたことが何度もあると思いますが、住宅の構造躯体が何で出来ているか…と言うことから説明しなければなりません。

住宅には、三匹の子豚ではありませんが、木造、鉄骨、コンクリートの3タイプがあります。断熱を語るにあたって必ず理解をしとぃただきたいことが『熱の伝導率』です。熱の伝導率とは、読んで字の如くですが、その物質が熱を伝えやすいか、伝えにくいかを数値で表しているものです。数値が少ないほうが熱を伝えにくく、大きいほうが伝えやすい物質になります。

木材が0,12~0,14 、鉄鋼が43~80 、コンクリートが1,0~1,8です。ちなみにアルミは250、ガラスが1,05、断熱材が0,02~0,04です。

まず、建てたいと思っておられる住宅の構造躯体が何で造られているかを知る事が第一の大きな選択肢になります。木構造に比べて、鉄骨構造は最大で600倍を超える熱の伝導率です。最近は、滅多に見かけなくなりましたが、落ち葉を焼いたり、枯れ木を焼いたりする時に、火元を攪拌するのに木の棒を使用したとします。火に直接接している所は焼け焦げてしまいますが、棒を握っている所は熱くなることがありません。一方、その棒を鉄に交換したとすると、火に接している所は焼け焦げる事はありませんが、棒を握っている所は熱くてとても素手で握ることは出来ません。

この現象が、毎日、毎日、生活しながら常に住んでいる住宅で起きている訳なのです。夏に直射日光を受ける屋根や外壁は60度を超える温度になります(使用する色によって温度は異なります)。凍てつく冬には、外気温が氷点下を下回る時もあります。鉄骨の躯体に屋根材が直接触れている訳ではありません。9~12ミリの合板が打ってあり、その合板に屋根材が乗せてありますが、外気温の影響はかなり受けます。壁については、外壁が受熱する温度をかなり高い割合で構造躯体に伝えます。

躯体に伝えられた温度は、野焼き時の鉄の攪拌棒の様に、高い熱の伝導率によって家中に伝わります。既に構造躯体そのものが外気温に準じた温度を屋内に伝えているのに、屋外に接する部分(屋根、外壁、一階の床)に断熱材を入れる事が、その部位を直視した所のみの断熱対処でしかない事をご理解ください。

この世の中には何でも非の打ち所がない、100点満点と言う物はありません。優れているところがあれば、必ず劣っている所もあります。住宅を工場で多くの割合を造る鉄骨住宅メーカーがあります。優れているところは、品質や強度が一定であることですが、欠点は熱の伝導率が高い鉄を他の軽量鉄骨住宅メーカーに比べてかなり多く使用しています。その為に生活するのにはこの上なく迷惑な伝導率によって得られた熱を壁や天井、床下等、普段の生活では気が付かないところに取り込んでいる事です。

夏に構造躯体が得た熱が、床下の基礎空間にも伝達する事で基礎内で『逆転結露』が起きる事も予想されます。逆転結露とは、夏の高い外気温が構造躯体によって基礎の中の構造体に伝えられ、地熱温度に比例した温度である基礎のコンクリートの表面に結露が発生する事です。なお、この事は、私の推測ですので悪しからず。

 

 

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