本当に2025年に日本の住宅の断熱性能は激変するのか?…9

今回は、真夏におよそ50度近くまで温度が上がる屋根裏で根気よく仕事ができる方法をお伝えします。

国土交通省も著名な建築家も建築学者も太陽熱の直射をまともに受ける屋根はかなりの温度になり、その屋根裏は『過酷な状況下における…』と決めつけています。小屋裏が過酷な状況下におかれている為に断熱等級5でも壁の断熱材は20キログラムのグラスウールを105㎜入れればよいのですが、屋根裏である外気に面する天井には同じ20キログラムのグラスウールを2倍以上の280ミリ入れなければなりません。

この数値を見ても現場を知らない人たちは屋根裏が『過酷な状況下にある』と思っています。その過酷な状況下にある屋根裏で仕事をする人たちの事などまるで考えていないのです。その結果冬に造る住宅は屋根裏の断熱材がきっちりと敷かれ、夏に造る住宅は屋根裏の断熱材が乱雑に敷かれているという事になりかねません。

我が国には古来から『置き屋根式』という屋根が2層になった『蔵』があります。太陽の直射日光を受ける瓦ぶきの屋根の下にかなりの空間があり、その下に雨を防ぐ必要が無いが粉塵などが入らない様に作った屋根がもう一層あります。屋根裏が過酷な状況下に置かれない様に作ってあるのです。

神社、仏閣の改修工事の時に建物本体の周りに足場を掛け、足場から建物全体を覆う様に屋根を造り改修中に雨に濡れないようにします。そのようにすると雨も凌げますが太陽の直射日光も受けず建物本体は日陰の中にある様になります。

住宅も同じように『置き屋根式』に造ればよいですが、コストや耐震、台風などの対策から考えても無理だと思います。

長くなりますので続きは次回に…