本当に2025年に日本の住宅の断熱性能は激変するのか?…5

気密についての続きです。

気密は基本的に建物の構造体(柱や梁)の外側で行うべきです。多くの住宅会社が壁は柱や梁の内部、天井は天井地組の室内側に少し厚めで黄色い透明の『インバリアシート』を張る事で気密施工を行っています。

気密の観点からだけを考えれば、室内側に気密シートを張ってもある程度の気密は取れます。隙間風の出入りが防げる為、冷気が入り温まった空気が抜ける事は防ぐことが出来ます。農家の方が農作物を作られる時に使用される『ビニールハウス』を想像してみていただきますとお判りと思います。透明のビニールシート1枚で気密が取れていれば、天気が良い日中はハウス内がとても暖かく、冬でも夏野菜が作れます。もしビニールシートに穴が開いていれば外気が侵入してハウス内の温度も保てなくなります。これが気密の要点です。

しかし、天気が悪く日射が取れない日や、外気温が落ちる夕方から夜、お日様が登り太陽熱で地球が温まるまでの間は、ボイラー等でハウス内を暖めないと夏野菜は枯れてしまいます。これが断熱を合わせて考えないといけない気密施工という事になります。

建物の室内側で気密を取るという事は、しっかり行っていると思い込んでいる断熱施工にもし『断熱の欠損』があればビニールハウスと同じように気密が取れるだけで断熱性能が無いビニールの所まで外気が到達していることになります。その結果、天井の石膏ボード1枚、厚さ12,5㎜を挟んで外気温と暖められた室内温度が接している事になります。

私が何年前かに経験したことです。県内大手の住宅会社で新築されたばかりのお客様から相談を受けた事があります。新築されたばかりなのに『この家には住みたくない』という事でした。そのお客様宅にお伺いして、どのような理由からなのかをお聞きした事があります。

長くなりましたので、続きはまた書きます。